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か…

多分酷く小さい声だったけれど、そう出たと思う。
でも定かではない。
困惑に困惑続きでもう頭は殆ど働いていないのだから。

見上げるユンギが私の手を引いて、ソファに座る老夫婦らしき二人の近くへ。

まともに顔を見ると二人ともじっと私とユンギを見つめている。
静観だ。
二人とも唇をきゅっと閉じて、姿勢を正した状態で。
女性の方はかなり品のある感じで_____


「一緒に住もうと思ってて、それを報告したくて今日来てもらったんだけど」


ユンギの話で私のヒント探しは終わった。

一緒に住む?
報告??
来てもらった???
その言葉達と合わせて、ユンギの横顔と老夫婦の顔を交互に見て"まさか"と。

落ち着きのない私の目に女性の方が軽く頭を下げたのが映った。
それで私も慌てて小さく会釈を返した。

いや、そんな、まさか。
でも_____


「先の事は分かんないけど、今は一緒にいたいから俺が」


ユンギの声色はとても落ち着いているし、老夫婦も落ち着いている。
私だけが取り乱している、内心、とても。
とてつもなく。

だって老"夫婦"で確定だ。
何処となく似ている、それぞれのパーツが、隣に立つユンギに。
夫婦で、ご両親だ。

自分が今置かれている状況と相手の把握出来たが、取り乱してるのが治まる訳じゃない。
寧ろ逆で、ユンギのご両親と分かったら両手にじわっと汗がかきそうな程の緊張が襲う。

それでもユンギの言葉が優しい雨のようにしとしとと私の胸の内に拡がって。


「自分のやりたい事を諦められなかったのと同じで、Aの事も諦めるつもりはないから、今日ダメでも納得してくれるまで話すつもり」


ユンギの手を握り返した。
何も言えないし言える立場じゃないから、それだけでも、と。

ご両親はお互いに顔を見合わせた後で、静かに息を吐いた。
様子を窺っていたけれど、目が合ったら何か問われそうで畏れ多くて目を傷一つないフローリングに落とした。

呼吸さえしているかどうかさえ、分からない時間が過ぎていく。
重々しい沈黙を破ったのは私でもなくユンギでもなかった。

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かむ(プロフ) - にゃんさん» 最後まで読んで頂きありがとうございます🥹しかも新しいのまで!何回でも読み返して下さい!笑 (4月2日 15時) (レス) id: 5dfe42fd36 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - ユンギさんのお話最高でした!!最高すぎるのでもう一度読み返しに行ってきます!!(今更新中のお話もとても楽しく読んでます!私の日々の楽しみです!) (4月2日 12時) (レス) id: b48cf01a74 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - u512さん» 私のペンになんて嬉し過ぎます🥲✨私もいつも終わらせたいような終わらせたくないような気持ちで書いてます!(笑)最後まで読んで頂きありがとうございます🥹 (4月1日 10時) (レス) id: fb7c0dcb39 (このIDを非表示/違反報告)
u512(プロフ) - やはり最高です‼️‼️かむさんペンになってしまいました‼️一生終わらないで欲しいと毎度思ってます‼️最強に拗らせられました‼️‼️これからも楽しみにしています🥹✨ (4月1日 9時) (レス) @page34 id: 37a21340a3 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» 見てきたかのようななんて嬉しいです🥹こちらこそ読み続けて頂いてありがとうございます! (3月31日 20時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月27日 23時

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