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「じゃ、少しだけ」
って、取引先にみせるような営業スマイルで、ピアノの前に座る
私には、睨みをきかせてきたけど、私は笑顔でかわす
ユンギさんが弾いたのは
戦場のクリスマス
ステキだった
演奏後、たくさんの拍手をもらいテーブルに戻ってくるユンギさん
そして、先ほどの女の子が来た
「お姉ちゃんの彼氏、上手だった」
お姉ちゃんのカレシ…そうだ、この人、カレシなんだ
自分が褒められたよりも嬉しいこの感情
「そうだね、かっこいいね
あなたもいい誕生日を過ごせたね、おめでとう
元気に大きくなってね」
食事を終えて、外に出ても、まだ8時…
まだ足りないな、なんて思っていたら、
ちょっとだけ飲み直すかって、落ち着いたバーに連れて行ってくれた
「ここのバーは、私がご馳走しますから!
誕生日のプレゼントも用意出来なくて……
せめて、ここのお酒をプレゼントさせてください♡」
「プレゼントね……ま、それは後からもらうわ」
ニヤリとするユンギさんが少し恐ろしいけど
こうして、ユンギさんの横で当たり前にお酒を飲む
ましてや、ユンギさんの誕生日にこうして一緒に過ごせるなんて
信じられない出来事だ
嬉しすぎて、いつもより少し…いや、だいぶと飲みすぎたかもしれない
「こういうところでは、ゆっくり飲め」
「そろそろ帰るか」
ユンギさんから、お叱りを受け、帰るかって言葉に即答
「ヤダ」
「ヤダってなんだよ、酔っ払って帰れなくなるぞ」
「帰れなくなりたい」
「アホ」
そう言って、自分のグラスのお酒をグイッと飲み干すと
私のバッグを持って「行くぞ」って、店を出る
「あ、お会計…」
「もう終わってる」
あ…またやっちゃった、誕生日なのに
しかも、バカな発言……1日目にしてふられそうだ
そこから、タクシーに乗って、
あぁ、今日も終わりか、寂しいな、
もはや、もうこの関係も終わりなのかもって落ち込んでいたのに
知らないマンションの前でタクシーを降ろされる
連れてこられたのは、ユンギさんの部屋だった
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作者名:みんと | 作成日時:2024年3月23日 8時